妊娠・授乳中は、食品添加物を摂取してもいいのか不安になりますよね。
ネット上では、「食品添加物は人体に悪い影響がある!」等の記載があふれているので当然だと思います。
しかし、食品添加物を一概に悪だとするのはナンセンス。
食品添加物と一口に言っても、様々な種類があります。100%オレンジジュースだって食品添加物になり得ます。
他にも、
- 「着色料は悪!」というけどクチナシ色素とタール色素を同列で考えてない?
- 根拠となる論文等を確認して発信しているの?
- その化学反応は90℃以上で起こるけど、あなたの体内はそんなに高温なの?
などなど、突っ込みどころ満載です。
厚生労働省や食品安全委員会が公表している情報を分かりやすく解説します。

元食品衛生監視員としての経験をもとに、私の考えも少し添えています。
本記事は、「妊娠・授乳中の食品添加物の摂取は安全!」「絶対やめるべきだ!」と決めつける内容ではありません。
食品添加物について考える材料(根拠)をもとに、「食品添加物との付き合い方」をご自身で考えてもらえるようになるのが、本記事の目標です。
正解は、読者の方々の中にしかありません。
結論
結論として、「食品添加物を摂取するリスク」ついて言えることがあるとすれば、
一般の方
妊娠・授乳中の方
当たり前のことを言っているようですが、ポイントは「添加物によっては」と、「適切な付き合い方」の部分です。
- どんな添加物を気にかけておきたいのか。その理由は?
- どのような付き合い方をすれば、気にしすぎずに済むのか?
- 妊娠・授乳中はどの程度気にして避ける方が望ましいのか?
このような疑問に自分なりの答えをもって、食品添加物と付き合っていきましょう。
食品添加物の種類
添加物の定義は、食品衛生法第4条第2項に規定されています。
この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。
もう少しかみ砕くと、
- それ自身のみで食べられたり、典型的な材料として用いられないもので
- 製造・加工の際にいろいろな目的で添加されるもの
- ただし、昔から一般に食品と考えられてきた砂糖や塩などは除かれる
このようなものです。
また、食品添加物は4種に分類されています。
- 指定添加物
- 既存添加物
- 天然香料
- 一般飲食物添加物
指定添加物(466品目)
(例)亜硝酸ナトリウム、クエン酸など



品目数は、2020年6月18日時点だよ
有効性や安全性が確認されて、規格基準を定めて厚生労働省大臣が指定した食品添加物。
よくある間違いですが、化学的に合成された物質だけでなく、天然物も含まれています。
既存添加物(357品目)
(例)カンゾウ抽出物、クチナシ色素など
既存添加物名簿に収載されている天然添加物。
長い食経験で、健康被害も認められていないものです。
例外的に指定を受けることなく販売や使用が認められています。
天然香料(約600品目)
(例)ウコン、ウメ、ゴマなど
これも天然添加物。
天然香料は、食品衛生法第4条第3項に定義があります。
この法律で天然香料とは、動植物から得られた物又はその混合物で、食品の着香の目的で使用される添加物をいう。
とされています。
一般飲食物添加物(約100品目)
(例)オレンジ果汁、サフラン色素など
一般に食品として飲食されているもので添加物として使用されるものです。



オレンジジュースを用いた着色や、イカ墨による着色など
イメージはこんな感じ👇


まとめ
表にまとめるとこのようになります。
添加物の種類 | 人口or天然 | 厚労省による指定 | 規格基準 |
---|---|---|---|
指定添加物 | 人口+天然 | あり | 設定 |
既存添加物 | 天然 | なし | 一部設定 |
天然添加物 | 天然 | なし | なし |
一般飲食物添加物 | 天然 | なし | なし |
食品添加物の規格基準はどのように決まっているの?
規格基準は誰が決めているのか
食品添加物の規格基準は、指定添加物に対して定められています。



それと、一部の既存添加物にも


①と③は厚生労働省、②は内閣府にある食品安全委員会で行われます。
厚生労働省が、その添加物の「必要性や有用性」を検討します。



必要性や有用性がなければ、添加物として指定されることがないんだね
その後、必要性や有用性があれば、内閣府にある食品安全委員会に科学的な評価を依頼します。
内閣府の食品安全委員会で、安全性の評価をします。



消費者に対して広く意見の募集もしているんだ
その評価結果を、厚生労働省に通知します。
食品安全委員会の評価をもとに、厚生労働省で規格基準を設定します。
規格基準って具体的には?
新たな添加物Aに対して、規格基準である
- 対象食品
- 使用量の最大限度
- 使用制限
を定めます。



「どんな食品に、どれだけの量を、どんなことに注意して使用するか」決められているんだね
たとえば、
対象食品 | 使用量の最大限度 | 使用制限 | |
---|---|---|---|
サッカリン(甘味料) | チューインガム | 0.05g/kg | – |
βカロテン | – | – | こんぶ類、食肉、・・・ に使用してはならない |
のように規定されています。



添加物によっては、定められていない項目もあるんだね
使用基準の決め方は?
何段階かの異なる投与量を用いて毒性試験を行ったとき、有害な影響が観察されなかった最大の投与量を設定します。
一日摂取許容量とは、人が生涯その物質を摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量です。
無毒性量÷安全係数100=ADI
安全係数は、
- 種族間の差
- 個人間の差
を考慮して、基本的に100で計算します。
人によっては、同じ食品を大量に食べることがあります。
そのような場合、ADIを超えてしまうので、国民栄養調査の結果をもとに使用基準を決定します。
一般的には、ADIの7~8割になるように設定されています。
このように、使用基準は決められています。
その他の安全策
使用基準の設定だけでなく、他にも様々な対策がとられています。
一日摂取量の調査
スーパーなどで売られている食品を購入し、その中に含まれている食品添加物の量を分析して測る
その結果に、国民栄養調査に基づく食品の喫食量を乗じる
その一日摂取量の調査結果をもとに、必要があれば、規格基準が改正されます。
既存添加物の安全性確保
既存添加物は、長い食経験から例外的に指定を受けることなく使用を認められています。
しかし、
- 国際的な評価結果
- 欧米での許認可状況
などを考慮し、既存添加物489品目(当時)のうち139品目の安全性について改めて確認しています。
【まとめ】一般の方の食品添加物の摂取
既存添加物など、安全性について確認中のものもありますが、長い食経験から考えても健康に悪影響が出る可能性はかなり低いと言えそうです。
指定添加物についても、厳しい基準が定められています。
もし、仮に悪影響がでるとすれば、同じ食品を毎日大量に何十年間も摂取した場合だと思います。



添加物による悪影響より、栄養の偏りで健康に悪そうだね
「食品添加物と適切に付き合う」とは、偏った食事をせず、様々な食品をバランスよく摂取することだと言えるでしょう。
どれくらい実践するかは、読者の皆様次第です。
妊娠・授乳中の食品添加物の摂取は安全?
ここまで、一般の方々の食品添加物についてのリスクについてお話してきました。
ここからは妊娠・育児中についてです。
どのように安全を確認しているのか
食品安全委員会が発出している文書に「添加物に関する食品健康影響評価指針」というものがあります。
「第4添加物の食品健康影響評価に際しての考え方」の中で、このように書かれています。
妊婦、胎児、乳幼児、小児、高齢者等の特定の集団における評価は必要に応じて行うこととし、その際、各集団における有害影響の知見がある場合には、それらの影響も考慮する。ただし、本指針において、別の規定があるものについては、当該規定に基づき評価を行う。
添加物に関する食品健康影響評価指針から引用
何をもって「必要」とするかは、ケースバイケースで一概には言えないでしょう。
しかし、全ての食品添加物に対して、妊婦・乳幼児への影響を評価しているわけではありません。
このような点を考えると、食品添加物を体に取り入れることは、避けた方が望ましいと言えそうです。
しかし、全ての食品添加物を生活から排除するのは、ほとんど不可能。
前述したように、オレンジジュースやウメなども添加物の一種です。
それらまで排除しようとするべきか。
それとも、バランスよく食べて栄養や食品添加物の摂取に偏りがないようにすれば良いとするのか。
正解はなく、自分たちで答えをだす必要があります。
食品添加物は悪者なのか
ここまでで食品添加物に悪いイメージを持ってしまった方もいるかもしれません。
ここからは、食品添加物の恩恵や誤解について話します。
食品添加物によって食生活は発展した
食品添加物がないと安全に食べられる期間が短くなり、食中毒の危険性があがります。
保存期間が延びることで流通が拡大し、おいしいと感じる食感や形を整えることができるようになっています。
現在流通している食品は、食品添加物がなければ実現できなかったものも多いんです。



使わないことによる危険性も考えておきたいね
天然だから安全とは言えない
おそらく、多くの方は「化学合成された食品添加物が身体に悪そう」というイメージをお持ちではないでしょうか。
しかし、新鮮な野菜だって突き詰めて考えると、「化学式の組み合わせ」。
化学合成された食品添加物は、科学技術でそれを成しているだけ。食品添加物の化学式は、私たちが普段食べている食材に含まれていることも多いんです。
また、「天然だから安全」とも言えないことも有りますよね。クワズイモやキノコ毒は私たちの身の周りに生えていて、毎年のように死亡事例が発生しています。



「天然=安全」という考え方は、逆に危険かも
食品添加物でなくても、食べ過ぎは毒になり得る
食品添加物は、品目によっては偏って大量に毎日摂取しすぎると、身体への悪影響は否定できません。
しかし、それは一般の食材も同じ。
塩を採り過ぎれば高血圧になりかねないし、糖を摂りすぎれば糖尿病になるかもしれません。
摂り過ぎれば毒になるのは、添加物だけでなく一般の食品も同じです。



「食品添加物=悪」という先入観を排除して考えたいね
食品表示のどこを見ればいいのか?
最後に、食品に使用されている添加物の確認方法にも触れておきます。
食品添加物は、食品表示に記載されています。
添加物の表示方法は、主に以下の3種類です。
原材料と添加物を「/」などの記号で区分して表示


原材料と添加物を改行して表示


原材料と添加物を別欄に表示





「/」で区切って表示していることが多い印象です
おわりに
食品添加物をどこまで許容できるかは、人それぞれ。
ですが、妊娠・授乳中は必要以上に食品添加物は摂らない方が無難だと思います。
本ブログでは、食品添加物の使用を極力抑えた宅食サービスを紹介しています。
ぜひ、覗いてみてください^^
コンビニ弁当との違いに驚きですよ。